卒業会談







「鈴木―」

「何だよ、田中」

「寒いな」

「冬だしなぁ」

「ところで明日は卒業式だな」

「そうだなぁ」

「俺はこの先某有名大学、お前は神学校かぁ・・・・・・」

「ちょっと待て」

「道があまりにも違いすぎて俺はビックリだよ」

「いやいやいや!俺は神学校行くなんて一言も言っていないぞ?」

「はぁ?嘘つき!」

「いや、嘘も何も行くなんて一度も言ったこと無いし!大体何で神学校なんだよ!」

「王様の命令はぜったーい」

「って王様ゲームで進路決められたんかい!俺は!」

「鈴木……いつ王様ゲームなんてやったんだ?」

「俺が聞きたいわ!」

「まぁそれはおいといて」

「おいとくな!俺の将来のことだぞ!」

「俺は明日の卒業式で答辞を読む!」

「はぁ?うっそお」

「嘘じゃない。テストの成績良いんだぞ?俺」

「でもあれ読むのって学年首席だろ?まじかよ」

「だからここで練習したいと思うんだが……」

「ああいいぞ、読め読め」

「じゃあ、俺の有り難いお言葉を聞け!」

「ってか態度でかいし」

「読むぞ〜〜」

「はいはい、もう好きにしてくれ」

「『Dear校長』」

「オイ」

「『俺と、お前が出会ったのは三年前の春の日……桜が散る四月だった。第一印象は、禿げ』」

「ってか馴れ馴れしいし!失礼だし!」

「『今は、あれから随分後退が進んで、僕は貴方の頭を見るたび時の流れを感じずにはいられません』」

「敬語にするからいいってわけでも無いんだぞ!」

「うるさいなぁー親しげで良いじゃないか」

「いや、親しすぎるし!普通、『この良き日に私たちは卒業します』とか言うだろ!」

「当日雨が降ったらどうすんだ」

「いきなりもっともなことを言うな!」

「『この高校に僕は知り合いがいなく、不安な日々を送ることになりました』」

「はぁ?そうだったのか?」

「『周りにはソーダとラムネとサイダーの違いがわからないような人達ばかりだったからです』」

「それが不満かよ!」

「『先生に相談しようとも、その先生もカレイとヒラメの違いもわからないような人で、どうすればいいのかわかりませんでした』」

「いや、どうしなくても良いんじゃないか?」

「『そんな僕と、校長先生はホラーとオカルトの違いを語ってくれました』」

「語るな校長!」

「『ちょっとうざかったです』」

「お前もうざかったんかい!」

「『思い出すとここでは語り尽くせない事が沢山あるので』」

「まぁな」

「『語り尽くそうと思います』」

「長い!長いだろ!語り尽くすなっての!」

「『と、言うのは軽い冗談』」

「オイ」

「『結局みんな、ソーダとラムネとサイダーの違いを知らずに高校を卒業してしまうのかと思うと、口惜しいです』」

「ソーダとラムネとサイダーの違いってどれくらい必要性があるんだ!」

「一般常識だ」

「嘘だ!」

「まぁ、お前は知らないからそういうことが言えるんだよ」

「ソーダは炭酸ガスの水溶液にシロップを加えたもので、ラムネは炭酸水に砂糖・酸味料・レモン香料を入れたもの。サイダーは炭酸水に酸味料・甘味料・香料を加えたものだ!」

「………何で知っているんだよ!」

「俺を甘く見ていたようだな、田中!」

「『時々思いがけないこともありますが、それもまた一興』」

「だからそれ答辞じゃないっての」

「『最後になりましたが』」

「おお、ようやく最後か」

「『この作品はフィクションです、実在の人物・事件・団体名などには一切関係有りません』」

「駄目じゃん!」



                        終































田中鈴木最終回でした。
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